八坂の古賀千代子さん

「栽培面積はどんどん狭くなっても、生涯現役を誓います。土いじりが生きがいです」と自宅前の畑を見渡します。
古賀千代子さん(79)は八坂の自家菜園でナスビやキュウリ、落花生など10品目を生産しています。現在はごく小規模での生産に留まりますが、数年前までは市内5カ所に合計10аの畑を持ち、夫婦で農作物を育て出荷し、「宝満の市」の結成時からのメンバーで新鮮野菜にはファンも多いそうです。

古賀さんは大刀洗から20歳で小郡に嫁いできました。旦那さまは長距離トラックのドライバー、千代子さんは保険外交員として、二人は働くかたわら農業を続けてきました。と言っても、旦那さんは北へ南へ日本を縦断する仕事スタイル、畑の管理はほぼ千代子さん任せだったそうで、「北海道の公衆電話から『大雨はどげんやったね?』と心配の電話もありました」と懐かしい思い出も。当時は子育て、会社勤め、畑仕事でてんてこ舞い、「苦労ばかりだった」と回想します。
そんな最愛の旦那さまを5年前に亡くし、千代子さん自身が大病を患ったことで、畑の面積は最盛期の数十分の一になったそうですが、今後も野菜作りを続けていく所存。「農作物で稼ぐ体験を忘れたくない。金額の多寡は問題ではない」と。あくまで出荷した農産品の対価として収入があることで「消費者の口に入るものなのだ‥」と生産に緊張感を持ち、生活に張りが生まれるそうです。「農業を通じて人とつながることで、老いを忘れ、若返ってさえいる」と笑顔の千代子さん。
「息子2人を世に送り出し、今では孫5人、ひ孫1人。みんな顔がそっくり」とファミリーの集合写真を見せてくれました。お盆と正月に一族が八坂の本家に集まるそうです。そこで振舞う料理やお酒、孫たちへのお小遣いやプレゼントはもちろん野菜を売ったお金で。農業での儲けが循環して孫たちの笑顔に。

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